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「りとむ」2011年9月号

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9/18(日)は「りとむ」の御茶ノ水歌会に参加。

奇数月の歌会は、「りとむ」の歌誌の掲載作品を合評形式である。

「今月の10首詠」に選ばれた滝本賢太郎さんの「浮世絵と戦争」の評価が高かった。

クラウゼヴィッツ語りしわれと向き合ひてただ剥かれゆく甘夏の皮

七月は無言のままに終へたしとミンククジラの骨を撫でゐる


とても静謐な世界が詠まれているようだが、「クラウゼヴィッツ」や「ミンククジラの骨」には、どこか暴力的なものを感じる。このギャップが面白い。


歌会で議論されなかった作品の中では、小川邦夫さんの次の作品がよかった。

この電柱あの草叢へ透明になりたる犬と道たどりゆく


愛犬を亡くされた悲しみを詠んだ一連だが、「透明になりたる犬」がいい。いつも愛犬と一緒に散歩をしていた道を通って、犬に引っぱられるような身体感覚が甦ってきたのだろう。透明な犬の輪郭が浮かび上がってくるようでもある。

視覚と触覚を同時に揺さぶる、とてもいい歌だと思った。



写真は群馬の実家で飼っている愛犬。見た目はちょっと頼りないが、名前は父が「閣下」と名付けた。

ペットは偉いのである。

よこすか軍港吟行ツアー

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9/25(日)は、地元の横須賀での吟行ツアー。

Twitterでのちょっとしたやり取りから実現した会で、4名の方をご案内した。

汐入駅近くの桟橋から、「軍港めぐり」という遊覧船に乗船。45分かけて湾を一周。

日本の自衛隊と、アメリカの第七艦隊の艦船を見ることができる。

イージス艦の見分け方や、日米の艦の色の違いなど、ガイドの方の説明が面白い。

その後、ドブ板通りを散策。老舗の「魚藍亭」で食事をしながらのミニ歌会も楽しかった。

お越しくださった皆さん、ありがとうございました。

横須賀の軍港に関しては、土屋文明の『山谷集』に「横須賀」という一連がある。例えばこんな歌。


軍艦は出でたるあとの軍港に春の潮みちくらげ多く浮く  土屋文明


「軍艦は」の「は」が、なんだか不思議な歌なのである。


「まひる野」2011年9月号

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「まひる野」2011年9月号。

染野太朗さんの歌集『あの日の海』 の批評特集が組まれている。

澤村斉美さんと柳宣宏さんの歌集評、どちらも歌集を丁寧に読み込んで書いた文章という印象。

澤村さんの「自らを取り巻く事物や事態との、愛ある握手」という言葉や、柳さんの「事実を認識までに引き上げた上で、メタ化された事実として言いあらわすところに特徴がある」などの指摘を、ふむふむと頷きながら読む。

色々と教えられるところの多い批評だったが、お二人の引用されている歌を読み、『あの日の海』の中に好きな歌がまた増えたのが何より嬉しい。

「まひる野」には、「マチエール」という三十代以下くらいの若手歌人の欄があり、こちらも拝読。

こんな歌がいいと思った。


宰相の言ゆれつづけ首都にふる雨の午後より東北へゆく/後藤由紀恵

芦田愛菜かわいいなどともし兄が言ったらどうしようゾンビ見る/山川藍

放射能なにびとの目にも見えざれば神のごとくに人を統べゆく/米倉歩

雑草とくくられる草それぞれに光を返す夏の避暑地に/富田睦子




写真は群馬県桐生市の西桐生駅前にある「暮六つ」の「ちゃー丼」。
高校時代の思い出の味。とてもおいしいのに、メディアやwebへはほとんど登場しないのが不思議。
チャーシューのような豚のバラ肉が、独特のタレで焼き上がっている。ご飯へのタレの染み込み方もバツグン。
ああ、毎週でも食べたい。。

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青山茂根句集『BABYLON』

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青山茂根さんから句集『BABYLON』 をいだだいた。

茂根(もね)さんは、中原道夫主宰の「銀化」同人。

(実は僕も、もう何年も投句できていないけれど、「銀化」の末席に加わっているので、茂根さんは僕の俳句の先輩なのだ。)

句集の装釘も中原道夫主宰がされていて、とてもかっこいい一冊になっている。

写真をご覧いただくと分かるのだが、正方形の本である。

普通の本よりも縦が短いのだが、開いてみると、これが俳句の長さにぴったり。

『BABYLON』を拝読して、初出の段階から目にしていた作品も多く、僕自身、夢中で俳句を作っていたころを思い出して熱い気持ちになった。

また俳句を作りたいなぁという思いに強くかられる。そんな一冊だった。


羽ひらく孔雀のごとき湯ざめかな

らうめんの淵にも龍の潜みけり

西瓜割れば赤き夜空と出会ひけり

迷ひはじめを秋蝶の色といふ

夕焼を処方されたる家路かな

拾ひつづけて銀漢へ分け入らむ

かはたれと問ふ木犀と答へあり

ミドルネーム空欄といふ涼しさに

旅客機に亜細亜の汗をもちこめり

踏み外すとき邯鄲を聞いたはず



こんな句がいいと思った。

句集の最後の199ページに、たった1行だけ、「あとがき」のような言葉が記されている。

句集『BABYLON』 の作者ならではの美学を感じさせる1行で、思わずゾクッとしてしまった。

もったいなくて引用できないので、ぜひ句集を手に取って欲しい。

青山茂根さん、ありがとうございました。

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