So-net無料ブログ作成

原阿佐緒歌集『涙痕』

sarada.jpg

ある勉強会のために原阿佐緒の第一歌集『涙痕』(大正2年)を読んでいる。

茂吉の『赤光』や白秋の『桐の花』と同じ年に出た歌集。

この涙ついにわが身を沈むべき海とならむを思ひぬはじめ
おなじ世に生まれてあれど君と吾空のごとくに離れて思ふ


冒頭あたりの歌から二首。「涙」とか「海」とか「空」とか、かなり抽象的な言葉が並ぶ「明星」的な詠いぶり。(実際、原阿佐緒は「明星」から出発している。)とは言っても、与謝野晶子のように自我でぐいぐい押して行くタイプではなく、恋を嘆いたり、うらんだりする歌が多い。

歌集全体に、抽象性の高い歌が並んでいて、歌にとっかかりがないと言うか、正直、読み通すのがしんどかったのだが、

春はよし恋しき人のかたはらによきことかたりほゝゑめるごと


こんな名歌性のある歌がひょっこりと顔を出したりする。

湯をくみて馬をば洗ふ馬だらひに円き鏡をうつす大空
煤びたる太き竹鍵白泡の酒煮る家に生い立ちしわれ
わが叔父が碧巌録を手にしつゝ打ちもだしたる秋のさびしさ


歌集中盤には、「馬だらひ」「酒煮る家」「碧巌録」などの具体を取り入れた歌があって、こういう歌のほうが現代の視点からはしっくり来るように思った。



先日、「りとむ」の歌会で、ある会員の方から、「田村さんのブログを読んで、Hさんの歌集を買いました。」というお言葉をいただいた。紹介した歌集を実際に手に取っていただけたのはとても嬉しく、励みになるお言葉だった。ありがとうございました。



写真は家の近所の居酒屋の野菜サラダ。サラダが新鮮で美味しいお店は、他の料理もまず間違いない。
コメント(0)  トラックバック(0) 

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。